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原点にして頂点 〜赤き瞳に映るもの〜

ライバルのリザードンが倒れる
チャンピオン戦、その戦いに勝利した瞬間から彼の運命は大きく動き始めていた

原点にして頂点 〜赤き瞳に映るもの〜

「がんばってくれ! ゲンガー!!」
「いや・・・これで終わらせる!」
ピカチュウの十万ボルトがゲンガーに襲い掛かる
ゲンガーはその攻撃を耐え切れず地に伏した
「あぁ・・・!」
「この勝負、俺の勝ちだ」
「さすがチャンピオン、ですねレッドさん」
「・・・・」
レッドと呼ばれた少年は何も答えずその場を後にした

(チャンピオン・・・・か)
ライバルとの死闘の末、見事に勝利しチャンピオンの称号を得たのは3ヶ月前の話である
勝利してからの3ヶ月、レッドは数え切れないほどの挑戦を受け、すべて勝ってきた
けれどその勝利はだんだんと価値のないものに感じ始めてきた
自分の考えが変わったのか、それともこれがチャンピオンというものなのだろうか?
レッドにはよくわからなかった
ただ暇でしょうがなかった

それから1年の月日が流れ、レッドはトキワシティを訪れていた
これまでの数えきれないほどの挑戦にはすべて応じたし、勝ってきた
けど何か物足りなかった
考えるのも面倒で、ただ戦いに明け暮れた
何も感じなかった、嬉しさも、怒りも、悲しみも何も
何も実感できなかった
今までの考えはある建物のそばに来て掻き消えた
「・・・あれ? トキワジムが開いてる」
トキワジムはジムリーダー不在のため閉鎖されていたはずだが・・・
「・・・・レッド?」
聞きなれた幼馴染でありライバルの声が聞こえた
「レッドか? 久しぶりだな」
「あぁ、そうだな。 なぁグリーン、なんでトキワジム開いてんだ?」
レッドはライバル・・・・グリーンに先ほど感じた疑問を投げかける
「それが・・・俺、トキワジムのジムリーダーに就任したんだ」
その言葉を聴いた瞬間、自分とは違い、彼は自分の道が見えていることを悟った
しっかりと自分の未来を見据えている
(なのに・・・・俺は・・・・)
俺自身の未来が見えない
(ならば俺のすべきことは・・・・?)
「おい? 聞いてるか?」
グリーンの心配そうな声が聞こえてきた
「あぁ、悪い、考え事してた」
そんな風に答えたれっどに「まだ耳が遠くなるには早すぎるぜ」とグリーンが笑いながら言った
「・・・・決めた!」
「な、なんだ? いきなり大きな声で・・・・・」
少々声が大きかったのかグリーンはビックリした様子だった
「俺はしばらくシロガネ山にこもろうと思う」
レッドは遠くを見据えしっかりと答えた
「・・・本気か? あそこは屈強な野生のポケモンが多「大丈夫」」
レッドの声にグリーンの話は途切れる
遠くを見据え決心したレッドをグリーンは引き止めることができない
「わかった・・・お前なら大丈夫だな」
「あぁ、すまない突然こんなこと話して」
けど、そこにいけば、チャンピオンという名を捨てれば自分が失ったものを取り戻せるかもしれない
純粋に戦いを楽しみ、色んなものが輝いて見えたあの心を
「いってくる」
レッドはそう告げ、シロガネ山へと向かった
「・・・・戻ってこいよ、レッド」
どことなく危なげな幼馴染の背中を静かに見送った

あれから数年・・・いや実際のところどれくらい時間がたったのかわからなかった
ここはシロガネ山の山頂
いくら野生のポケモンが強いとは言ってもレッドの敵ではなかった
結局ここにたどりついてから今までの長い時間、自分自身の答えを見つけることはできなかった
なぜ自分は旅立ったのか、なぜ自分はジム戦を勝ち抜いてきたのか、なぜチャンピオンになったのか
・・・・なぜ、自分はポケモンという存在と共存しているのか
考えれば考えるほど月日がたち、気がつくと今になっていたような気もした
「・・・・・」
レッドは遥かかなたの地平線を静かに見つめていた
もうずっとそうやって何もしてない気がする
考えることも・・・・ついには止めてしまった
ただ今日の雰囲気はいつもと違う、そんな気がした
どこか遠くで戦いの音がした
その音は確実に近くなってきて、いずれここにたどり着くのだろうと思った
その勘は正しかったようで足音が徐々に聞こえてきた
(・・・やはり戦うことになるのだろうか
 だとすれば、自分はどんな表情をしているのだろうか)
後ろをゆっくりと振り向く
そこには驚いたような、そして自分の瞳と少しにたような金色の瞳があった
「アンタは・・・? 何でこんなところに?」
「・・・・・・・」
あぁ、今日も無駄な時間を過ごすことになるのだろうか
それとも・・・

レッドの赤い瞳には何も映されていなかった
ただ・・・寂しさと似た色だけを残して

過去と未来 〜炎の意思を受け継ぐもの〜

赤い瞳の少年は待ち続けた
自分を倒す者が現れることを

過去と未来 〜炎の意志を受け継ぐもの〜

「ひゃー・・・ 本当に寒いな」
誰もいない空間で少年―――ゴールドはぼやく
その言葉に反応するかのように相棒であるエーパムは身震いした
「おまえも寒いか? わりーな、つき合わせちまって」
エーパムはどうってことないと言わんばかりに笑いかけた
ゴールドがこのシロガネ山に来たことには意味がある
ジョウトのジム制覇、リーグ制覇、カントージム制覇を成し遂げ、カントージム最後のジムリーダーであるグリーンに勝利して以降特にすることもなく、トキワシティをうろうろしていた
そのときにグリーンから「シロガネ山には屈強な野性ポケモンがいる。 興味があるならいってみろ・・・」と話を聞いていたからだ
「にしてもこの洞窟長いな・・・・」
シロガネ山の洞窟に入り込んでから一向に出口が見えず、嫌気がさしていた
野生ポケモンは強かったが自分の敵ではなく、ただただ出口を探しているのだ
そろそろ出てもいいころ・・・かな?
そう思ったそのとき、先が明るい事に気がつく
ゴールドは嬉しさのあまり走り出した

そのころ赤い瞳の少年は吹雪のなか何かするわけでもなくただ遠くを見据えていた
その瞳には何も映っていない
感情も、人格も、魂すらもないようにも見える
しかし彼は実在しており、かすかに聞こえる足音にも気がついている
ゆっくりと後ろを振り向くとそこには驚いたと言いたげな金色の瞳があった

「アンタは・・・? 何でこんなところに?」
「・・・・・・・」
ゴールドは少し混乱気味で問いかけるが何も返答がない
「あの・・・もしもし?」
「・・・・ピカチュウ」
ゴールドはさらに問いかけるが、少年は答えることなくモンスターボールからピカチュウを出した
「・・・・! どういうつもりですか?」
ゴールドはエーパムを前に出した
「・・・・バトル。 君も僕を倒しにきたんでしょ?」
少年の瞳は何も映していない
戦いの相手であるゴールドも、エーパムも、自分のピカチュウさえも
「・・・・は?何いって「君は僕を・・・・」」
ゴールドの質問は遮られ、少年の発した言葉もうまく聞き取れなかった
しかし、少年のピカチュウのでんこうせっかによりバトルへと突入した
「エーパム! かわしてスピードス・・・・」
少年が言い終わる前に電光がはしる
「・・・え?」
ゴールドは呆然とした
エーパムは気を失っていてピカチュウは彼の傍にいる
どうやらでんこうせっかだと思った技は違ったようだ
「いったい・・・なにを」
「・・・・さぁ、次をだしなよ」
少年の顔には何も現れていない
喜びも、嬉しさも
「たのむぜ! バクフーン!!」
ゴールドはバクフーンをくりだした
「バクフーン! かえんほうしゃ!」
「・・・・十万ボルト」

バクフーンとピカチュウの攻撃がぶつかり合い激しい光を発生させた
ゴールドは思わず目をつぶると何かが流れ込んできた
自分のものではない記憶や感情――――
初めてのポケモン、図鑑をたくされた嬉しさ
ジム戦での激しい戦い、ロケット団との戦い
リーグでのライバルとの最終決戦、勝利の嬉しさ
そのころの彼はとても嬉しそうで、彼の赤い瞳は生き生きとしていた
(まるで・・・自分のことみたいにわかる)
コールドは感じ取った、はじめはただ楽しかった
しかしチャンピオンとして挑戦者と戦い続ける日々
戦う間に忘れてしまった、最初のころの輝きを
そして彼はこの山の山頂にたどり着いた
誰一人としてこないこの場所へ・・・・

ゴールドが目を開けると赤い瞳が目に入った
寂しさと似たなにかが彼の瞳に映っていた
「俺もアンタとにてるのかもしれない・・・・」
「・・・・」
「俺もジムを制覇して、リーグ制覇、カントージムも制覇 正直今は退屈だった、つまらなかった」
ゴールドは話し続けた
彼の瞳に願いをこめて
「けど!やっぱ ポケモンと一緒にいることは楽しい!嬉しい!」
だんだんと彼の瞳には輝きが戻ってきた
「最初はただ一緒にいるだけで嬉しかった、けど、それは今でも変わらないはずだろう?!」
「・・・・あぁ」
少年は静かに答えた
「「だってポケモンは大切な仲間だから!」」
ゴールドと少年の声が重なる
お互い笑いあう
「・・・・君の名前は?」
少年はゆっくりと、けれど確かに問いかける
「おれは・・・ゴールド! ワカバタウンのゴールドだ!」
バクフーンは炎の最強技ブラストバーンを発動させ、ピカチュウに放つ
「そうか・・・ 僕はレッド マサラタウンのレッドだ!」
ピカチュウは電気の究極技ボルテッカーで向かいうつ
爆発音、再び辺りは激しい光を発した

「強いな・・・君は」
レッドは意識が朦朧としているゴールドに話しかける
「これからは君が最強だ・・・・僕の意思をうけつぐもの」
ゆっくりとゴールドをリザードンへと乗せる
「けど・・・僕の二の舞にはならないで欲しい・・・ 過去は取り返せない」
「けど、君にも、もちろん僕にも未来がある」
リザードンが飛び立つ
「ありがとう・・・ゴールド」
レッドはそういうと再び山の奥へと姿を消した

ゴールドが目を覚ますとそこは自宅だった
どうやら家の前で倒れていたらしい
けど、あれは現実だと体の傷が教えてくれている
(僕の二の舞にはならないでほしい・・・)
「大丈夫ッスよ俺には仲間がいる」
窓を開け、空を見上げる
「俺は・・・ゴールド、炎の意思を受けつぐもの」
外には1つのにごりもない明るい世界が広がっていた

透き通る水面と金色の世界

風が吹く――――――
その風は少年の前髪を優しく揺らし吹き抜けた
その風を心地よさそうに受けている少年はゆっくりとその目を開いた

〜透き通る水面と金色の世界〜

少年―――ゴールドは朝日が昇り始め、明るくなりつつある景色を草原で眺めていた
ここはシロガネ山、1ヶ月ほど前からレッド先輩とここへきてポケモンバトルの修行をしている
先輩とはよく修行に来ているが一度も勝てたことがないんだよなぁ・・・
とゴールドは心の中でぼやく
ブルー先輩曰くバトル狂なレッドさんは恐ろしく強かった
今日はこの草原全体が戦いの場だということだが・・・
肝心の先輩は寝ている・・・
ゴールドは「まぁ、よくあるこった・・・」と言い一人川辺へ向かった

川辺へたどり着いたゴールドは顔を洗い始めた
ふとそこの川の水はとても透き通っており、まるで宝石のクリスタルを連想させられる
クリスタル―――
ゴールドは遠い地にいる女性の名を心の中で呼ぶ
クリスタル―――通称クリスはオーキド博士の助手で、超まじめ学級委員系の女の子だ
初めて会ったときは付き合いずれー女と思っていたが今では大切な親友だ
・・・それ以上のことはおもってねぇぞ! 俺は!断じて!
誰に言うわけでもなくゴールドは否定をしはじめる
きっとブルーがこの物凄い勢いの否定をきけばしばらくネタにされるのは言うまでもない
「お! ゴールド! ここにいたか」
まだ眠たそうな顔をしたレッドが突然現れたことにビックリしてしまった
「うわ! レッド先輩! その! なんでもないんです!はい!」
「なにがだよ・・・」
ついつい勢いで謝罪してしまいレッドに苦笑されてしまい少し恥ずかしかった
「そ、そんなことより! 先輩、修行始めましょう!」
ゴールドは必死に話題を変えた
「そうだな・・・今日からしばらくバトルだな! フィールドは半径5キロ! 手持ちは6匹で全員戦闘不能になれば負けだ! 決着がつくまで続けるぞ!」
つまり・・・時間無制限の戦い、負けられない
ゴールドは闘志を燃やしはじめた
「それじゃ・・・いくぜ!」
レッドがボールを構え、ゴールドもそれに習いボールを用意した
「ピカ!」
レッドがピカチュウを出してくるとゴールドはエーたろうことエーパムを繰り出す
ピカとエーたろうが交戦するなかレッドはギャラドスで川を越え、ピカを戻す
ゴールドは逃がさないといわんばかりにキューでボールを弾き向こう岸にバクフーンを出した
「バクたろう!! かえんほうしゃだ!!!」
バクたろうのかえんほうしゃがレッドを襲う
煙のせいでよく見えなかったが、こんなことでやられるレッド先輩ではない
案の定そこにはレッドの姿はなく、見事に逃してしまった
「こっからは慎重にいかねーとな・・・ もどれエーたろう!バクたろう!」
エーたろうとバクたろうをボールにもどし、ゴールドは反対側の森林へ身を隠した
―――クリス・・・・
なぜか未だにクリスのことを考えているゴールドは頭を振った
(あー!ドちくしょうめ・・・頭からはなれねぇ!なんだってんだ?!)
ゴールドはかすかに音が聞こえ身構える
「あー!なやんだってしょーがねぇ! レッド先輩には悪いけど早くメニュー消化してさっさと戻ってやっか!」
バクたろうをボールからだし、ゆっくりと進むとレッドの姿を確認できた
「フッシー!ソーラービーム!!」
「バクたろう!かえんほうしゃ!!!」
レッドのフシギバナのソーラービムをバクたろうは迎撃する
威力は互角だったようで、技は相殺された
「やるな!」
「だてに先輩と特訓してたわけじゃないッスよ!」
二人はまた草原へと身を翻した
ゴールドが走り続けると川辺にでた
そこで水を確保し、一瞬その景色を見入ってしまった
木々の間から降り注ぐ光はまるで金色のような世界を作り出し、静かなる水面を照らしている
いつかこんな景色をクリスに見せてやろう
そう、心の中で誰とするわけでもなく誓いを立てた


日が沈み始める
そんな光景をひとりの少女はみつめていた
「お〜い! クリスタルさん! そろそろ日が沈みます! 撤収しましょう!」
「はい! 今行きます!!」
クリスタルは足早に建物の中へとはいていった
ここはポケモン研究所ホウエン第3分室
「ただいま戻りました!」
クリスタルは最高の笑顔で戻ってきた
しかし、クリスタルの笑顔が正真正銘のものではないということを研究所の人々は知る由もなかった

テーマ : 二次創作
ジャンル : 小説・文学

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